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 江戸技法との違いとは

江戸技法との違いとは

■ 江戸期のグラヴィール

切子とグラヴィールは、元来その手法を異にするものですが、ガラス面に彫り文様を入れてゆくという共通の技法からなり、古くは加賀屋の引き札にも江戸切子と共にグラヴィールの製品が乗っています。このように江戸期より伝えられる技法で、しかも日本ではグラヴィールのほうが古くから行われていた

加飾法ではなかったかと推測されています。近代のグラヴィール技法がガラス工芸に取り入れられたのは、16世紀に入ってからで、ボヘミア地方から始まり、18世紀にはドイツ、オーストリア、イギリスとヨーロッパの各地で発展し、

やがて日本にもその製品などが長崎より伝わり、いつしか加工されるようになりました。わが国のグラヴィールの変遷を見ると、およそ三期の時代と系統に分けることが出来ます。

■ 江戸グラヴィールの加工法

江戸では正徳年間に吹き硝子の製造が始まったと伝えられていますが、その頃には長崎の製造業者の技術は進み、享保5年に著された「長崎夜話草」と言う文献には、長崎土産の硝子器が紅毛の細工に勝れりとあるといいますから、

だいぶひいき目にしても当時の長崎ではかなり優れた硝子が作られていました。あるいはその頃当地では、グラヴィールは別にしても、いわゆるギヤマン彫りぐらいは加工されていたのかもしれません。

ギヤマン彫りは手に持って加工しやすいためか、小型ではありますが、朝顔形の胴部にステムと小さなフットをつけた可愛いガラス器に往々にして見られ、江戸切子、グラヴィール、花切子の例は板硝子を利用した遺品類に多いです。

例は少ないですが、先の足つきガラスのやや技術の上がった遺品や、透き素地の美しくなってきた幕末頃の器などに見られることからも、やはりギヤマン彫りよりは時代がやや下がると思われます。

■ 風流で粋な江戸の技

輸入の板硝子に花鳥山水などを彫り加工し、デザインよろしく嵌め込み、優雅さと風流さを楽しんだ作品に刀がけ屏風、また同様なものに加賀屋の江戸切子を代表する文具セットの研屏などがあります。

とりわけ鼈甲の飾り櫛の棟幅には夢さそう異国船や花鳥絵などが見事に表現されており、さぞかし、高価であったろうこの櫛を髪にさして楽しんだ、江戸の粋な婦人の心意気と、工人の洒落な味とテクニックが心憎いほどです。